ライフステージにおける不調、症状、疾患

東洋医学の古典には、年齢の7の倍数が女性の様々な「変わり目となる」と言われます。
この理論が言われた当時よりもかなり技術も生活も環境も発展、進歩した現代でも、やはり留意すべきところがあります。

健康に自信のある方、身体が弱いと感じられている方など、個人の健康に関する意識や自覚は異なります。
しかし、日常生活を行う上で、過多はありますが、負荷がかかっています。自分で解消することができるケースもあれば、難しいケースもあります。

鍼灸治療では、年代に応じた体の変化、生活習慣などを勘案して治療を行います。

10歳代までの不調や疾患~月経に関する症状、起立性調節障害、不眠、眠れない、頭痛、不登校など

幼児から子どもに変わり年齢を重ねる頃になると初潮を迎えます。月経による様々な症状も、10代のころから悩まされる方もいらっしゃいます。現在では月経困難症などについて医療機関への受診が奨励されていますが、個々人の症状や状況は、なかなか他人とは比較ができないこともあり、対応が遅れてしまうケースもあります。

さらに現在では、学校やプライベートなどでパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器に触れることも多く、身体活動の減少、長時間のPCやスマートフォンなどの利用による不良姿勢の継続、夜更かしなどから、小学校高学年ごろから「起立性調節障害」などに罹患するケースも出てきています。

10歳代後半から30歳ぐらいまで~月経に関する多種多様な症状、ダイエット、仕事に関する悩みやそれらに伴う不調、不眠、頭痛、腰痛等

10歳代後半からは、進学に伴う様々なプレッシャーなどにさらされます。また、ダイエットなどに関心を持つ時期でもあり、極端な栄養制限を行ったり、小食になったり身体を作る時期に十分な栄養が取れないことによる副次的な身体の不調を抱えるケースがあります。

身体が出来上がる重要な時期に当たりますが、ダイエット、受験勉強など様々な身体への負荷、精神的な負荷などがある場合、身体的精神的な不調として表れることが多いのもこの年代の特徴です。

身体の不調については、家族や友人に相談しにくいといったこともあり、月経困難症などの月経にかかわる様々な不調、ダイエットやパソコンの利用など、精神的な身体的精神的な負荷からもたらされる頭痛や腹痛、肩こりなど症状を感じていても対応ができず、症状が進んでから治療を開始するケースもみられる時期です。

仕事を始めたりすると、さらに精神的、身体的な負荷がかかるケースもあります。また、様々な理由から市販薬等で対応し、数年後に服薬に伴う副次的な症状が出てしまうといったケースもあります。

不妊治療を行い始める時期も、この年代に当たります。

30歳代から50歳代~不妊治療、月経に関する症状、頻尿や尿漏れ、肩こり、腰痛、頭痛、不定愁訴などの身体の変化

月経に関する症状で医療機関を受診することが比較的多くなるのが30歳代でもあります。「生理痛で病院に行くのはちょっと」「継続的な診察や服薬に抵抗がある」「お金をかけたくない」といった20歳代の考え方が少しずつ変わる時期でもあるためです。

身体のこと、細かい症状や状態など、親しい間柄でもなかなか話せないことが多いと思います。あるいは、同じような症状を持つ人もいて、「自分のケースはそんなに重篤ではない」「みんなそうなんだ」と思われる方も多いのが女性のさまざまな症状です。症状が重い方の中には、同じような症状の方に会うと「自分は重いケースだけれども、でも同じような人もいる」と納得される方もいらっしゃいます。このようなケースで治療開始が遅くなるケースもあります。

月経、ホルモンに関しては、人により悩まされる時間や頻度、重さが異なります。月の半分以上不調を抱えてしまう方もいれば、月経前、期間中、月経後の数日間、非常に重い症状に悩まされるケースなど様々です。

さらに、月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感、身体的症状として腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなどの身体的、精神的な症状が徐々に出始める時期です。ホルモンバランス、仕事などのプレッシャーなどからこれら症状は一定ではなく、調子が良い時もあれば、非常に振り回されることもある、コントロールが難しい症状です。

更年期になると、更年期症状を多くの方が感じられます。のぼせやほてり、脈が速くなる、動悸、息切れ、異常あるいは急激な発汗(10分程度でおさまる)、血圧の上下、耳鳴り、頭痛、めまいなどの症状があります。さらに、興奮亢進、イライラ、不安感、うつ症状、不眠、眠れない、中途覚醒などの症状に悩まされる方もいらっしゃいます。
特に仕事中や集中したいときに症状が出る方もいます。それによりさらにイライラが増したり、うつ症状になったりと悪循環になるケースも見られます。

鍼灸治療ではそれぞれが抱える症状への治療が可能です。また、服薬中、ミレーナなどの処置中などのケースでも問題なく鍼灸治療をお受けいただけます。本当は避けた方がよい生活習慣でも、仕事などでどうしても避けられないことがあると思います。問診や治療を通じて代替案や生活上の工夫などもお伝えしています。

また、頻尿、尿漏れなどの症状に悩む方もいらっしゃいます。産前産後から高齢の方まで含め、様々な年代で生じる可能性のある症状ですが、なかなか人に相談しにくい症状でもあります。外出や旅行に行きづらくなったり、仕事で支障が出たりします。症状が進んでしまう前に、一度ご相談ください。

60歳代~様々な痛み、閉経後の症状など

現在は、60歳を過ぎてもまだまだ現役で働かれている方も多くいらっしゃいます。しかし、特に閉経にともなう身体の変化を感じやすい時期でもあります。

閉経に伴いホルモンの影響もあり、骨密度が減少、骨折をしやすくなる年代です。人によっては、子どもが独立したりして家族が減り、食事量やおかずの数や種類が変化、食べる量が減ることが多いのもこの年代です。

腰痛や膝痛、関節痛などに悩まされる方も多くなっています。自由な時間ができたのに身体が思うように動かない、痛みを感じるため遠出ができないなど、活動を制限される方が出てくる年代でもあります。

現在、高齢になっても一定の活動を維持することが奨励されています。認知症予防や疾患等の予防につながることが理由です。

少しでも健康的に動ける身体を維持する「身体づくりの時期」にもあたります。

鍼灸治療では、これら若い年代から高齢に至るまでの様々な症状に対応が可能です。ご自身のケースでの鍼灸治療の可否、その他ご不明点等ありましたら、遠慮なくご連絡ください。